数や図形の性質・関係を研究して、公式・証明などの法則化を図る論理的思考の学問です。純粋数学と応用数学に大別されます。純粋数学は抽象的な概念を論理的に考える理論体系を主とし、数の性質や関係、定理や方程式の解法などを研究する「代数学」、図形や空間の性質を研究する「幾何学」、微分・積分をベースに物理学とも関わる「解析学」などがあります。
応用数学は、コンピュータを積極的に活用してさまざまな問題を数値化するなど、自然科学、社会科学や工業分野と関連しています。プログラム理論や確率論、社会科学系の分野でも応用されるゲーム理論なども応用数学の領域です。プログラミング理論や計算法のアルゴリズム、情報通信に欠かせない暗号理論、社会科学の諸問題の効率を最大限に高めるオペレーションズ・リサーチなども研究対象となります。
製造業やIT関連企業、金融・保険業などに就職する人や、システムエンジニア、プログラマーなどの専門職として活躍する人、教員免許を取得して数学の教員になる人が大半です。大学院へ進学する人も比較的多くいます。
東京海洋大学 海洋資源環境学部 海洋環境科学科 教授 中島 主恵 先生
ビーカーの中の水に、黒いインクを1滴落とすとします。インクはだんだん水中に広がっていき、最後には全体が薄いグレーの水となります。この時、ビーカーの中では、インクが全体に広がる「拡散」という現象と、各所で水の分子とインクの分子が化学反応を起こす「反応」現象が同時に起こっています。こうした現象を反応拡散系と呼び、その変化は反応拡散方程式で表すことができます。物質がどう動いているのかを数理モデル化し、微分方程式として記述するのです。
反応拡散系の現象は一般的に、上記のインクの例のように、時間が経つにつれて均質化、一様化するものであると考えられています。しかし、実はある状況下では、反応拡散系でも一様化が起こらないことがわかっています。
1952年にチューリングという数学者は、ヒョウやシマウマなど、表皮に模様を持つ動物の模様のパターンが、反応拡散方程式で説明できることに気づきました。動物の模様は一様化しない反応拡散系の一例であり、このメカニズムを解析していくことで、生物の形態形成を解明できることになります。
一様化しない反応拡散系は、表皮の模様以外にもさまざまな分野で見ることができます。物理学における相転移問題がそうです。水はセ氏0度以下で氷になりますが、ちょうど0度の時には氷の箇所と水の箇所がまばらに存在しています。また、発生学では、遺伝的に赤い花と白い花が咲く植物の、赤と白の存在する確率のモデルとなります。これらも、反応拡散方程式で説明できるのです。
このように、一見まったく違う現象に思えるものも、反応拡散系の数学として扱うと、同じもののように見えてきます。つまり、一方の現象について解くことができれば、もう一つの現象を解く鍵になるということです。この考え方は、生態学のような自然現象、渋滞のような社会現象にも応用が可能となるものです。
京都大学 理学部 数学教室 准教授 矢野 孝次 先生
高校の数学では、「サイコロを1回振ると1の目が出る確率は6分の1である」ことを前提とします。これは、「サイコロを6回振ったら、1回は1の目が出る」という意味ではありません。「大数(たいすう)の法則」によると、「何回もサイコロを振ると6回に1回の割合で1の目が出る」というのが正確な意味です。大数の法則とは、「確率pで起こる試行を繰り返し行うとき、“起こる回数”を“試行の回数”で割った数値はpに近づく」というものです。
大数の法則は経験的に導かれたものですが、「近づく」という言葉があいまいです。数学は、計算・論理を展開(証明)して、結論(定理)を導く学問分野ですから、あいまいな部分があってはなりません。これをハッキリさせるのが、大学で学ぶ確率論です。「近づく」の意味は極限を用いて定式化でき、大数の法則を定理として述べて、証明することができます。高校数学の範囲で理解できる定式化(弱法則)もあれば、測度論という高度な数学を必要とする定式化(強法則)もあります。一方で、意味の取り方によっては誤りにもなりますから、正しい定式化と証明に注意を払うことが極めて重要であることがわかります。
実は確率論には、確率そのものの定義と格闘してきた歴史がありました。現在では、確率そのものの定義を考察の対象から切り離すことで、確率論は数学の分野の一つとして確立されています。確率論とは、偶然的な試行を多数回行うときに見られる現象を厳密に論ずる数学の分野であると言えます。そこでは高度な理論を駆使して、さまざまな成果が生み出されています。確率論の応用分野は広く、例えば、大量データの統計解析や雑音をともなう通信における情報伝達、デリバティブ(金融派生商品)の価格、熱運動による微粒子の拡散などにも応用されているのです。
三重大学 教養教育院 准教授 森山 貴之 先生
ある中心から一定の距離の点を、平面で集めると「円」になります。同じようにそれを空間で集めたものが「球面」です。「幾何学」は、2次元の円や3次元の球面、さらに多くの次元の球面といった特定の性質を持った集合について考える学問です。では、その集合が特定の性質を持ったまま、どのように、また、どれくらい変化していくのでしょうか。
例えば、シャボン玉を思い浮かべてみてください。体積が変わらないという条件の下で、いろいろな形に無数に変化しています。このようにシャボン玉自身だけでなく、どのように変化するかということを考えるのも幾何学の一つです。
ある物体の変化すべてを考えることにより、その物体の性質がわかることがあります。しかし、シャボン玉のような無数にある変化をどうのようにしてとらえたらよいのでしょうか。そこでシャボン玉の表面積に着目すると、この無数の変化の中で最も表面積の小さくなるものが「球面」だとわかります。このように「球面」はシャボン玉としての変化の中の特別な点なのです。
こうした変化をとらえる際の計算に役立つのが「微分」です。微分とは、ある関数のある点での接線の傾き(変化の割合)を導き出すときに用います。このように微分を用いた幾何学は「微分幾何学」とよばれます。
私たちの暮らす地球は、球面になっています。平らな地面を歩いているように感じていますが、地面はかすかに曲がっています。このように私たちは地球を平らな地図だと思って生活しているのです。しかし、地球の曲がり具合の量を計算してみると、平面の地図では正確な距離と角度を表すことができないことが証明できます。この曲がり具合を調べるときにも微分が活躍します。幾何学を学ぶことで、目に見えるものだけではなく、見ることのできない構造や性質を理解することができるのです。
岡山大学 環境理工学部 環境数理学科 准教授 石岡 文生 先生
統計学の目的は、数字の羅列であるデータの中から規則性の有無を見極め、可視化できる情報を抽出することです。近年、地理情報システム(GIS)の高度化で地理情報データの収集・整備が進んでいて、そのデータを有効活用する手法として注目されているのが「空間統計学」です。
空間統計学では「そのデータがどこで記録されたか」という位置情報が座標や緯度経度などの数値として付加されているデータを扱い、規則性などを見出したり、必要な値を予測したりといった分析を行います。
位置情報を持つデータには、経済指標や地理情報、地球の自然科学系データ、病気や犯罪の発生分布などがあります。例えば、インフルエンザはどの市区町村で多く発生していて、特に多発している地域(ホットスポット)があるのか、それがどの範囲と断定できるのかなどを、数学を用いて客観的に分析します。
空間統計学を使ってホットスポットを検出する手法はこれまでにさまざまなものが考案されてきましたが、同定されるホットスポットの形状に制約をともなうものであったり、何千~何万といった領域からなる大規模な空間データの場合は、非常に時間と手間がかかることがネックでした。
しかし、「エシェロン解析」という手法を応用すると、ホットスポット抽出のためのスキャン(解析のためにどういう領域をとるかを探すこと)が非常に効率化します。エシェロン解析とは、データの空間的な位置を表面上のデータの高低と隣接情報に基づき分割し、空間データの位相的な構造を系統的かつ客観的に見つける解析法です。
エシェロン解析はさまざまなデータに適用できるため、例えば遺伝子同士の位置情報を解析して、特定の病気との関連性を統計学的に導くこともできます。空間統計学の面白さは、どんどん応用範囲が広がっていく点にあります。ビッグデータの時代、空間統計学の可能性は無限大です。
福岡大学 理学部 応用数学科 教授 佐野 友二 先生
物の形を調べるとき、その物を外から眺めます。例えば、地球が丸いことは地球から離れてみてわかることでしょう。
では、地球の外側、つまり宇宙の形を調べたいときはどうしたらよいでしょうか? 宇宙はどこまでも広がっているのか? 古代の人々は地球の形についても同じ疑問をもっていたのではないでしょうか。では蟻になったつもりで地球が丸いということをどうやって調べたらよいでしょうか?
地表の世界しか知らない蟻はその外(宇宙)の存在はわからないかもしれません。それでも形を測ることができます。矢印を持って、その方向が変わらないように動いてみましょう。次に矢印の方向が変わらないように矢印と垂直の方向(横)に進んでみましょう。最後に矢印とは逆の方向に進んでみましょう。すると初めの位置に戻ってきます。さらに矢印の方向が初めの方向とは異なっていることがわかります。これは初めの位置の近くが平らではないことを意味しています。これを量として表したものを「曲率」と呼びます。この方法に従えば、外側の世界がなくても世界の形を調べることができます。このような幾何学を「微分幾何学」と呼びます。
「幾何学」は空間を根源的に理解しようとします。その世界観は数学の世界だけのものではなくなってきています。例えば、曲がった空間の中での幾何学(非ユークリッド幾何学)は当初数学の中の仮想の話と思われていました。しかし時空は曲がっていると主張するアインシュタインの相対性理論は、微分幾何学の言葉を用いて記述されています。さらには複素数を用いた空間でアインシュタイン方程式を満たす空間が万物の理論の候補として考えられている超弦理論で注目を集めています。
今も幾何学は新しい空間概念を生み出そうとしています。それは受け入れられるのに時間がかかるものですが、100年後の人類の空間に対する直感を大きく変える発見になるかもしれません。
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数学の勉強ができる学科があり、かつ中高の数学教師の免許が取れるから
機械工学を専攻のため
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都市計画に興味があり、それにつながる研究ぐしたいから
環境問題に興味があり、その学部があり私の好きな数学の奥深さを学びたかったから
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学びたいと思っていた内容であったことと、研究をする上で環境や設備が整っていて充実した学校生活が送れると思い
自分の夢を目指せるカリキュラムがある!
東京海洋大学 海洋資源環境学部
海洋資源開発について専門の学科を持ち、さらにその分野において優れた研究者も多数在籍するため
極地学研究に興味を持ちそのような学問に力を入れている学校だったから