音楽を学び、演奏家、指揮者、作曲家などの音楽のプロフェッショナルをめざす学問分野で、どの分野でもソルフェージュと呼ばれる音符を読む、書くといった音楽の基礎を学びます。声楽や器楽演奏の専攻では、さまざまな音楽理論と演奏法を学びます。個人やグループによるレッスンが実技の中心となり、表現力の向上をめざします。楽器別でさらに細かな専攻に分かれます。
音楽の本質や歴史について理論的に研究したり、音楽を教えるための専門知識や技術を学ぶ分野もあります。音楽学の専攻では、音楽の本質とは何かを理論的に学び、音楽作品を深く研究します。作曲の専攻では音楽理論や作曲の技法を学びます。音楽教育の専攻では、音楽を教えるための専門知識と指導方法の習得をめざします。さらに、指揮者をめざすコースや、音楽イベントの運営や音楽ビジネスを学ぶコースもあります。
演奏家、指揮者、作曲家などの演奏活動に携わるプロフェッショナルのほか、学校の音楽の先生、楽器の指導者、PAエンジニア、サウンドプログラマー、音楽を用いて心のケアを行う音楽療法士など、活躍の道は各方面に広がっています。
フェリス女学院大学 音楽学部 音楽芸術学科 教授 谷口 昭弘 先生
映画の盛り上がるシーンには必ず音楽が流れています。観客は映像だけでなく、音楽によっても感情を揺さぶられているのです。『スター・ウォーズ』では、主要登場人物を印象付けるテーマ音楽が作られています。悪役のダース・ベイダーの登場なのにジェダイの騎士のテーマを流して、ダース・ベイダーとジェダイに関係があることをうかがわせるシーンもあります。
登場人物に結び付けた曲や旋律はライトモティーフと呼ばれ、クラシック音楽の作曲家ワーグナーのオペラで編み出された手法です。そしてヨーロッパでのユダヤ人迫害によりアメリカに逃れた作曲家が、ハリウッドで映画音楽に関わったことで定着しました。
ディズニー映画では歌が欠かせません。『リトル・マーメイド』では、ヒロインのアリエルが「パート・オブ・ユア・ワールド」という曲を歌います。伴奏は音階が低音から高音に上がり、海底から人間の世界へ行ってみたいというヒロインの気持ちを旋律でも表現しています。
ディズニー映画ではソングライターが映画製作の最初の段階から関わるのが特徴です。『アナと雪の女王』では、当初エルサは完全に悪役として描かれていましたが、エルサの複雑な感情を歌にしたいというソングライターの意志により、前半のストーリー展開やエルサの人物造形が変わったと言われています。それほどディズニー映画は歌と密接な関係があるのです。
映画音楽には便利な役割もあります。歌のシーンでは、ストーリーをいったん止めて、じっくりと歌詞を聞かせることで、観客に登場人物の気持ちを強く伝え、共感させることができます。また、『ライオン・キング』では、劇中歌「ハクナ・マタタ」が流れている間に主人公のシンバが子どもから一気に成長して大きくなります。語りで説明するとくどいことも、音楽と映像だけでスマートに見せられます。このように音楽に着目すると、違う側面から映画をひもとくことができるのです。
洗足学園音楽大学 音楽学部 音楽・音響デザインコース 教授 渡辺 俊幸 先生
現代生活には、とても多くの音楽が流れています。人気アーティストやアイドルの歌、テレビドラマの主題曲や挿入曲、ドキュメンタリーやコマーシャル、映画やゲームのための音曲、あるいは建物の中などで流れる環境音楽など、実にさまざまな音楽が現代生活を彩っているのです。
これらは総称して「商業音楽」と呼ばれています。このなかにはクラシック音楽の編曲なども入ります。人々の耳に届くようにするすべての音楽的な営みが「商業音楽」を構成するものなのです。
それでは、商業音楽はどのようにつくられ、私たちの耳に届いているのでしょうか。
2000年ごろまでは、作曲家が曲をつくり、それを楽器ごとに譜面に起こし、演奏者を集めてスタジオで演奏し、録音してCDなどの媒体で流通させるのが普通でした。ところが、現代ではコンピュータの発達によって、スタジオでの演奏なしに、まるで演奏したかのような完成曲をつくり出すことが可能になっています。スタジオでの演奏と録音には、演奏者やレコーディングのエンジニアなど多くのスタッフが必要ですが、コンピュータでは、それらをすべて一人でこなすことができるのです。いわば、たった一人で、あたかもオーケストラが演奏したかのようなレベルの音楽をつくり出すことができるというわけです。
もちろん、現在でもスタジオ収録される音楽はたくさんあります。演奏することによってしか出せない味わいがあるからです。一方、コンピュータによる音曲作成には、一人で自由に音がつくり出せる面白さもあると同時に、費用や時間が圧縮できるという利点もあります。
今後、商業音楽に携わろうとしたとき、コンピュータによる音曲作成の技術を避けて通ることはできません。同時に、生の演奏を組み立てられる力も大切です。両者の力と技術が備わることで、日本の音楽シーンはますます豊かに発展することができるのです。
京都女子大学 発達教育学部 教育学科 音楽教育学専攻 准教授 田崎 直美 先生
音楽と政治という、縁がなさそうなこの2つは、実はどの時代や地域においても大きな関わりを持ちます。例として19世紀後半から20世紀前半の西ヨーロッパをみてみましょう。フランス革命以前には教養のある貴族のもとで栄えた音楽が、次第に大衆へと聴衆層を広げると、フランスのパリを中心に派手で快楽主義的な音楽が好まれるようになります。一方で、同じ頃ドイツでは、シューマンやワーグナーに代表される「ロマンチックで重厚な」クラシック音楽が出現していました。さらにドイツでは、バッハやベートーヴェンといった自国の巨匠の作品を後世に伝え残し、音楽を高尚で哲学的なものと見なそうとしました。これらの動きは、「文化でドイツという国家を統一しよう」という動きの一環でもありました。
1870~71年の普仏戦争では、フランスがドイツに敗北します。このとき、フランスの音楽界で立ち上がったのが、『白鳥』でおなじみのサン=サーンスです。1871年、当時の作曲家たちは、フランス国家の救済に貢献しようと、パリで「国民音楽協会」を設立しました。ドイツに倣い「真面目で高尚な音楽」を作って普及させることで「快楽主義に陥り没落したフランス」を立て直そうとしたのです。その発起人の一人だったサン=サーンスは、協会が頻繁に開催した演奏会に、当初最も多く作品を提供しました。
さて、今日吹奏楽でも演奏される『ボレロ』は、サン=サーンスの孫弟子であるラヴェルが1928年に作曲したバレエ音楽です。2種類の旋律を機械的に繰り返すこの曲に、音楽で表現される「物語(ロマン)」はありません。1918年に終結した第一次世界大戦の傷跡で人々が既存の価値観を問い直す中、フランス音楽界ではドイツで発達した「ロマンチックで重厚な」音楽からの脱却が意識されるようになります。『ボレロ』は、こうした機運の下で生まれた「新しい価値観の音楽」だったのです。
大阪大学※文字数テストです。※文字数テストです。※文字数テストです。 文学部 音楽学・演劇学専修 教授 伊東 信宏 先生
あなたが好きな音楽は、J-POPでしょうか、それともロックやR&B、HIP HOPでしょうか? いずれにせよ、あなたが聴いている音楽は、ごく限られた範囲のものです。音楽は国や地域によって実にさまざまな特徴があり、世界にはあなたの知らない音楽がまだたくさんあるのです。
例えば、東ヨーロッパには、専門チャンネルで一日中ミュージックビデオが流れるほど人気の大衆音楽があります。ブルガリアでチャルガ、ルーマニアではマネーレと呼ばれていて、ビートの効いた複雑なリズムに乗せ恋愛やお金にまつわる物語を歌手がこぶしを回して歌い上げる様子は、日本の演歌に通じるものがあります。
この地域の大衆音楽は、結婚式などイベントで、ミュージシャンを招いて演奏を聴きながら大勢で歌い踊って楽しむものでした。ミュージシャンはいわゆるジプシー(ロマ)と呼ばれる人たちです。これは昔、人々が教会によって楽器の演奏を禁じられたため、異教徒であるジプシーにお金を払って演奏させていた名残です。
社会主義崩壊後の1990年代には、東ヨーロッパにも西側の音楽が流れ込んできました。その影響を受け、マドンナやマイケル・ジャクソンも流行しましたが、一方で大衆音楽と西洋ポップスとが融合した新しいジャンルが生まれました。
音楽は太古から暮らしの中で育まれ、人々に共有され変化を遂げてきました。音楽について考察すると、背景に政治や宗教、民族性など多様なことが見えてきます。音楽を研究することは、人間の本質を知ることにつながるのです。
インターネットで世界の情報が簡単に手に入る時代ですが、もしかしたら今あなたが好きで聴いている音楽は、メディアや日本の文化的な枠組みの中で用意された情報から選ばされているものなのかもしれません。音楽の楽しみ方をまずは疑ってみるのもよいでしょう。
大阪教育大学 教育学部 学校教育教員養成課程 音楽教育コース 教授 田中 龍三 先生
学校で音楽を指導する際、着目したい4つのポイントがあります。それは音楽の「形式的側面」「技能的側面」「内容的側面」「文化的側面」です。形式的側面とは、旋律やリズムなど音楽を形作る諸要素、いわば音楽の理論で、技能的側面とは、音楽を奏でたり、譜面を読んだりするテクニックです。内容的側面はその音楽を聴いた時どんな気持ちになるかという情緒的な部分、文化的側面は、その音楽の持つ風土や歴史です。もちろんすべて大切ですが、形式や技能面を教えることにこだわりすぎると、「難しい」「つまらない」と感じる生徒が出てきます。
ベートーベンの『運命』を聴くと、なんだか差し迫った気持ちになります。どんな音やリズムがその印象を作っているのでしょう? 「ヤーレン、ソーラン」と歌うソーラン節は、北海道のニシン漁での掛け声を元に生まれた民謡で、網を引くテンポにうまくメロディが乗っています。では、ほかの民謡はどんな背景が、どのような曲調に現れているでしょうか?
こうして音楽の感じ方、音楽が持つ文化に着目した問いを投げかけると、生徒の心に「なるほど!」「へぇ~」という気づきが生まれ、感性を刺激し、新たな疑問や興味を呼ぶきっかけになります。
例えば和音を教える時には、実際に聴かせて「きれい」「不安定」「おしゃれ」など感じたことを問いかけ、なぜ感じ方が違うんだろうと考えさせます。この和音は君たちの好きなアーティストがよく使っているよと、身近な例を挙げる手段も使うと「そうだったのか!」と気づかせることもできます。
そんな授業ができれば、音楽に苦手意識のある生徒の心も引き寄せることができます。「教育」とは教えるだけでなく、学ぼうとする心を育てるものです。「音楽=音の楽しさ」をもっと学びたい!と思わせる音楽の先生が増えれば、より多くの心豊かな人が育つかもしれません。
他の大学と比べ、ピアノ以外の他の楽器を学ぶことが出来ます。そして、一人で練習ができる練習室が多いことも魅力的です。
中学校と高校の教員免許だけでなく、小学校の教員免許も取得することが出来るから
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ピアノ、声楽、吹奏楽、音楽理論など広範囲にわたって学べるから。
音楽の勉強もできるうえに、授業内容が充実しており、幼稚園から高校までの先生ので免許がとれること。
音楽学を学びたいから
文学部に、国立大学では珍しい演劇学専修が設置されているため
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教育実習など実際の教育現場でいかせる授業が多いことが理由です。
音楽教育に興味があり、自分が学びたい教育内容にとてもあっていたから
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フェリス女学院大学 音楽学部
音楽理論や音楽史、クラシックから洋楽、邦楽など多岐に渡る音楽が学べ、更に英語や他学部の授業も履修できるから。
どの学部でも語学習得が必須ということをしり外国語大学と似た環境で学べるということを知ったから