心理学は、心の動きを科学的に検証し、人間心理を解き明かそうとする学問。学習や記憶など脳の情報処理のメカニズムなどを研究する基礎心理学、乳幼児から心身がどのように発達するかを研究する発達心理学、集団の中で人間がどのように行動するかを研究する社会心理学、心に問題がある人の診断・治療・予防や心の健康維持を研究する臨床心理学などがあります。実験や調査で科学的データを集め、客観的な事実をもとに分析・研究を行います。
人はなぜ、そのような行動をするのか。人間のさまざまな行動を科学的に研究し、その法則性を解明しようとする学問。行動科学では行動の観察や実験などによって、コミュニケーションや意思決定メカニズムなどに焦点を当てて学びます。人間の行動特性を知れば、社会問題の解決やビジネスに生かすことができます。
公認心理師や臨床心理士、認定心理士、社会福祉士、精神保健福祉士などの資格を取得して心理専門職や福祉関連職・教育関連職として活躍するほか、心理学や行動科学の知識を持った人材として、公務員や一般企業への就職など、進路は多岐にわたります。
関西福祉大学 教育学部 児童教育学科 教授 大山 摩希子 先生
心理学は、人間の見えない部分を追究しひもとく学問で、子育てや保育、教育とも密接につながりながら、その成果が生かされています。「発達心理学」や「認知心理学」「教育心理学」では、人間のやる気や信頼関係がどう育まれていくのかということや、保護者や教師などとの関わり方のポイントなどを、発達段階に応じて研究する分野があります。
0~2歳くらいの言葉を持たない時期の子どもは、考えていることが投げたり、口に入れたりという動作になって表れます。一見乱暴に見えるかもしれませんが、危ないことがない限りは見守ることが重要です。この時期に大人がしっかりと関わることで、子どもの中に「この人は何があっても味方なのだ」という信頼感や「自分には周囲を変える力がある」という自信が生まれます。これが、人との信頼関係の根っこや青年期のやる気の支えにつながっていきます。
その後、言葉を使えるようになってきて、イメージを使った「ごっこ遊び」など、遊びの内容が劇的に変わる幼稚園や保育園の時期には、自分が好きなものを人に見せたいといった気持ちが先に立つ「自己中心性」が見え始めます。子どもは相手がそれを好きかどうかは考えません。それをわがままととらえずに、その子どもの気持ちを受け止めながら、「相手がどう思うか」ということを考えるようにもって行くのが教育支援です。
小学校低学年くらいになると、自分の思考や行動を把握し認識する「メタ認知」能力が芽生えてきます。例えば、授業で先生に「ちゃんとやっておきましょう」と言われた時に、読み返したり、アンダーラインを引いたり、人に聞いたりというように、どうしたらいいかを自分で考えられるのがメタ認知です。教師は、メタ認知ができる前の子どもには、何をしたらよいかを明確に指示し、メタ認知の獲得へと導く必要があります。そういう支援をすることが、子どもの生きる力にもつながってくるのです。
岩手県立大学 社会福祉学部 人間福祉学科 准教授 田村 達 先生
心理学に「社会心理学」と呼ばれる分野があります。社会心理学では人の心理状態、あるいはそこから生まれる行動は、周囲に人がいるかどうかで大きく左右されると考えます。例えば、1対1のシチュエーションであればAと答える問いに対し、周囲に人が存在し、その人たちが問いに対して次々にBと答えた場合、内心ではAと思いつつもBと答えてしまうのです。このように人が、「どんな心理状態で」「その行動に至るまでにどのようなプロセスを経るか」「人にどう思われたいか、思われたくないか」など、社会心理学の範疇(はんちゅう)は非常に幅広いものです。
この分野では身近なことがテーマになります。例えば、「美人は得をするのか?」という研究が行われていますが、「イケメンは得をするのか?」という研究もありえます。プロフィールを同一にし、イケメンの場合とそうでない場合に分け、それぞれ同一の調査項目を設定してその優位性を比較する実験を行うのです。実際に確認してみると、例えば雇用についてはイケメンのほうが雇われやすい傾向にありますが、一方で「謙虚なイメージがない」「一生懸命に取り組まなさそう」といったネガティブな意見も目立ちました。しかし全体的にみると、女性の場合と同様、男性の場合もイケメンは得をする傾向にあるという結果がみられています。
「人間は社会的動物である」という言葉が示す通り、人は常に社会と密接に関わり続けています。とりわけ現代においてはコミュニケーションのとり方は非常に大事な要素です。人の話を聞くときは目を見て聞く、相づちを打つなど、良い印象を持ってもらえる行動を知るだけでなく、なぜ人はそのような行動を好意的に感じるかというプロセスまで理解することが重要です。それこそがこの学問の醍醐味であり、それを上手に生かすことでより豊かで円滑な社会生活につながります。その意味で社会心理学は実生活に即した学問と言えるでしょう。
東北大学 文学部 准教授 荒井 崇史 先生
人は他者に対して、暴力や攻撃といった行動を起こすことがあります。中には相手を操作するための手段として意図的に攻撃する人もいますが、多くの場合、暴力をふるってしまう背景には、「強い怒りや恨み」が潜んでいます。なんらかのきっかけに反応し、「ついカーッとなって」衝動的に行動してしまうのです。きっかけがなければ攻撃することはなかったかもしれませんし、「そんなことをする人だとは思わなかった」という声もよく聞きます。犯罪者になる可能性は誰にでもある、ということです。
怒りの感情から相手を殴りたいと思ったとき、人間には「手をあげてはいけない」と修正する能力がある、という仮説があります。これは個人の経験や社会環境から学習した結果が影響していると考えられています。たとえ修正能力が低くても、暴力という行動に移さない場合もあります。自分にとって大切な人を悲しませたくないという感情など、人とのしっかりとした絆(きずな)がストッパーになっているという、社会的絆理論の考え方です。
また、社会問題化している万引きは、店の経営に支障をきたす場合も多く、万引きをさせない環境づくりに地域で取り組む自治体も増えています。一人ひとりの自制心だけでは犯罪を止めるのが難しいことも多く、こうした社会的抑止力の重要性が指摘されています。
犯罪を完全になくすことは難しいということを前提に、犯罪に巻き込まれるリスクを下げる行動を取ることも大切です。特殊詐欺にひっかからないための効果的な情報発信の方法や、イヤホンをつけて夜道を歩くことを止めるための効果的な注意喚起の仕方など、犯罪心理学や社会心理学の観点からの、事業者や行政、警察などと連携した取り組みも進んでいます。
こうした情報を一番届けたいのは、自分は絶対に犯罪に巻き込まれないと思っている人です。しかし、こういう人ほど情報が届かないという傾向もあり、その解消も今後の大きな課題です。
同志社大学 心理学部 心理学科 教授 石川 信一 先生
不安は誰にでもある当たり前の感情です。その感情がほかの人たちと比べてとても強かったり、なかなか晴れなかったりして、日常の生活に支障をきたす場合、何らかの支援が必要です。支援が必要な不安のことを「不安症」と呼んでいます。そして、不安症の支援には「認知行動療法」が有効です。
人間の感情には形がありません。不安も手で捕まえることはできません。しかし主観的には確かに存在しています。認知行動療法では、困っていることに対して、「形を与える」努力をします。例えば、小さなミスをとても大きなものに感じてしまう場合、その傾向を児童では「おじゃまむし」などと名づけるのです。そして、子どもが心の中に飼っている「おじゃまむし」の声を小さくするにはどうしたらいいかと一緒に考えていきます。欧米と日本で比較してみると、こういったやり取りでの文化の違いがあることがわかります。欧米では正確な感情語で相手に伝えることが多いのですが、日本ではあいまいな表現を使うことがあります。そうした傾向をふまえ、子どもにとってピッタリくる言葉を使いながら支援していくことが大事なのです。
子どもが困難を乗り越えるうえで大切なこと、それは現実場面でのチャレンジです。鉄棒の逆上がりと同じように、実際の練習とその積み重ねは何よりも子どもの力になります。心理師は、不安な場面でのチャレンジを子どもと一緒に考えて、階段を上るようにスモールステップで取り組んでいきます。認知行動療法で子どもが自分の悩みを克服できると、まるでその悩みが最初からなかったかのようにふるまうことがあります。言い換えると、それはその子の考え方が変わった証拠です。ここまでくれば、その子は自分からいろいろなことにチャレンジできるようになるでしょう。認知行動療法では、子どもから感謝の言葉をもらうことはめざしません。子どもの自立性を支援することが最終的な目標になります。
福岡大学 人文学部 教育・臨床心理学科 准教授 長江 信和 先生
生涯に一度でもうつ病やパニック障害、外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神障害を発症する人は、国民の約25%と推計されます。ところが、精神科医などの医療者に相談できる人は、そのうち4分の1程度と言われています。また、日本は災害大国です。大規模災害の後には、落ち込みや不眠などを経験するのが一般的ですが、問題の慢性化に苦しむ人も少なくありません。苦悩する人たちのなかには、自ら命を絶つ人もいるため、心理的な支援の必要性が広く認識されるようになりました。
そこで国は、国民が安心して心理的な支援を受けられるようにするために、法整備を進めました。その結果、2017年に公認心理師法が施行され、心理専門職初の国家資格「公認心理師」が制定されることになったのです。これまでの心理専門職は、臨床心理士などの民間資格の保持者が主でした。国家資格の制定によって、心理専門職の質が担保されるため、学校や病院、企業など、支援の場も広がることが考えられます。また、身分や待遇が保証されやすくなるので、心理専門職の数が増えることも予想されます。心の問題に苦しんでいた人たちも、今後は、心理的な支援を受けやすくなるでしょう。
公認心理師に期待されるのは、苦悩する人たちへの心理的な支援です。そのためには、悩みを持つ人たちと出会い、効果的な支援を行う必要があります。例えば近年、インターネットを介した遠隔支援が注目を集めています。相談の場が自由に設定できるので、必要なときに必要な人たちへ必要な支援を行うことができます。また、精神障害の予防に効果的な認知行動療法も広まりつつあります。苦悩の成り立ちを学んだ上で、現在の考え方や振る舞い、体調を健康的な状態に整える方法です。公認心理師は、社会情勢や研究の進展に応じて、専門的な知識や技能の向上に努めなければなりません。今後の日本社会において、公認心理師が果たす役割は大きいと期待されています。
臨床心理士になるためのコースがある。
社会福祉士の資格取得のための授業があり、心理学についても学ぶことのできる学科があるから。
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私は心理学や行動科学に興味があり、東北大学の一年次で幅広く学習してから二年次で専攻に移る点が興味のある分野以外にも様々な教育が受けられて知見を深められると感じ興味をひかれた。
文学部に入学後、幅広い系統の学問を選択できる
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興味のある心理学を幅広く学べるカリキュラムに惹かれたから。
心理学と芸術学の双方を同時に学べるから。
送料とも無料
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公認心理師の為のカリキュラムがあるから
心理学を勉強したかったことと、「女子教育」に力をいれていたこと。
札幌学院大学 心理学部
公認心理師の資格が取れるのと心理学部に力を入れており様々な専門の心理の先生方がいて、自分の学びたい心理学の部門を学ぶことが出来ると思ったので札幌学院大学に決めました。
大学院と連携して学べる